怪獣殿下 伝説の原型師、再進撃ス レビュー⑦!
いきなり断言するが、途轍もなく素晴らしい造型物である。
おそらく、モスゴジタイプの全立体物の中でも、上位に食い込むであろうことは間違いない。
このモデルが一般家屋サイズで造られていたのであれば、幾ら払ってでも手に入れたい。
これぞ怪獣、これぞ怪獣王ゴジラである。
頭部資料を天井に張り付け、頭部の制作中。
側面バランスは決戦ゴジラ似か。
禍々しい牙が実に印象的であり、バランスやアウトライン以外は、決戦ゴジラの愛きょうを微塵も感じさせない。喉元の弛みも艶めかしいラインを描く。
腕部。親指部のふくらみから、手首に流れるラインの美しさ。
実に心地よい処理である。
背後。
背後のモールドが入れられていないことからもわかるように、この作品は、製作途中……加えて番組制作の途中でありつつも、とん挫した。
おそらく番組側も困ったであろうことが容易にくみ取れる(最後の唐突な社会派メッセージは何とか番組を纏めようとしたが故か)。
どだい、常識の範疇外の方なのである。
そんな番組であったが、怪獣ガレージキット業界においてここまでのボリュームの番組、そして内容で放送されたこと自体、凄まじい快挙である。
まさか民放で、真の「怪獣造型」をお披露目されるとは思ってもみなかった。
そして、ガレージキットのガレージキットである所以を垣間見た。
ガレージキットは送り手の精神性がストレートに発現するがゆえに、ガレージキットなのである。
故に、怪獣狂人の造る怪獣は、「作品」として記憶に残る。
精神性のないモノは、どれだけ忠実なモノであろうと、それはただの「商品」だ。
我々はそれを忘れてはいけない。
令和の時代に、怪獣狂人が、怪獣ガレージキットの本質を説いてくれたではないか。そう、公共の電波を通して。
終