怪獣殿下 伝説の原型師、再進撃ス レビュー①
「寝ても覚めても怪獣なんですわ!頭の中の99.9%が怪獣!」
と絶叫する60代を、僕は初めて見た。
伝説の原型師、原詠人氏に密着したドキュメンタリー「怪獣殿下 伝説の原型師再進撃ス」は、たぶんここ数年で、いや、人生でも最も期待した「テレビ番組」だ。
怪獣原型師がテレビでドキュメンタリー特集される。
なんのスポンサー的、タイアップ的要素もなく、しかも1時間番組である。
そしてそれは、わが初恋の原型師「原詠人」氏である。
↑「原氏の30㎝新ゴジを買って貰った小学生時代」がテーマの、この部屋を見てもらえれば、僕の原氏愛は伝わると思う。完成品で置いてあるのは「はいぱぁモスゴジ」。井上氏はカミサマである、原氏は「初恋の人」であり、そして浅井氏は「師」だ。
パオパオワンダーランドのパオパオ氏から事前情報(パオパオワンダーランドゴジラ掲示板はこの番組制作にも協力している)を頂いてから1ヶ月弱、待ちに待った録画BDを再生した瞬間に飛び込んできたのがこの「寝ても覚めても怪獣なんですわ!」だった。
そこから1時間余りにわたって写し出されたのは怪獣狂人。怪獣で人生が変わり切ってしまった男の姿だった。
「これが『原さん』か……」
なまじ今となっては、自身も粘土をこねている身である。ゆえに、不安に襲われた。
端的に言うと、「ここまで(怪獣に)狂わないと後世にまで残る作品は作れないのか」という恐怖だった。
井上氏にしても、原氏にしても、「伝説」となった原型師はすべからく頭のネジが飛んでいる。
僕はゴモラ製作時、精神的にかなりのところまでいってしまい、カウンセラーにかかった。
が、これは「症状」であり、彼らのような「本質」ではない気がする。頭が99.9%怪獣の人たちは、とにかく「本質的に破綻している」のだ。
テレビカメラの前だからと格好をつけるわけではなく、「いつも通り(怪獣に)狂っている」姿が延々と映し出される1時間。
ドキュメンタリー番組というよりかは、僕にとっては恐怖番組であると同時に、初恋の人が当時のままの姿で写し出された、桃源郷のような1時間でもあった。
これが僕の感想だ。
つづく(長くなります。数日間に分けるかも)