宇宙超怪獣(キングギドラ)造型の世界 その③
トントントンカラリンと隣組~♪
猫族です。
やっぱ皆さま熱いですね、この時代ネタ。
というわけで、この勢いのまま本体レビュー!
●そもそもギドラってさ
2000年代初頭まで、イメージの統一が殆どなされてなかった怪獣なんですよね。
超有名、人気怪獣なのに。
まぁ間違いなくその要因は一連の「ポスタースチール」にあるわけで。
いまさらだけど、コレね。改めて見ても、メチャクチャ格好良いな。
てか、改めて見ることがないほどに頭の中にこれが浮かんできちゃう…それがある種、ギドラ造型の難しさであり、ひいては「速水ギドラのメディアイメージの悲劇」だとすら思います。
僕らはこのスチールを見ているようで見ていなくて、でもやっぱりイメージは固まっているわけですよ。
人間って感覚的にカタチをとらえてしまうから。
つまるところ、このポスターギドラは、まさに垂直に屹立したパイナップルなんです。
図にするとこんな感じ。これをぼんやりと認識している。
でも実際の劇中のギドラはかなりの前傾姿勢なわけです。
でもそれを三本の首が補ってるから全然気にならない。実によく考えられたデザインだと思いますよ、実際。
この超有名な引力光線を吐き狂っているシーン。「これもキングギドラのド定番」です。
僕らはこれを劇中のハイライト…「シーン」として捉えるあまり、ギドラの身体構造までなかなか目がいかない。
もっと言えば、格好良すぎるあまりに、「抽象化」してしまっているのかもしれません。
でも、これ、カラダの構造はまるで違う。
折れ曲がって突き出た上半身から首がパラパラと流れ出ているんですね。
つまり、キングギドラは、超メジャーなイメージが「2つ混在している」不思議な怪獣なんですよ。
故に、立体におこす際に、ものすごい問題が生じてくる厄介なアイテムでもある。
●考え出された「折衷案」
そこで、多くのトイやら、ガレージは「折衷案」として解決しています。
上半身をポスター、下半身の構造は劇中(さらに細かく言うと、民家の前の脚部アップシーンの重心構成)という解決法です。
だから乖離した上半身と下半身をイマジネーションで繋ぎ合わせ、結果、恐竜のような体型となったギドラが非常に多い。
私見では、速水ギドラと浅井ギドラ、未完成に終わった井上氏幻モデル「以外の殆ど」が、それに該当するのではないかと思います。(ポスターバージョンは除く)
●誠実に、劇中を再現した速水ギドラ
説明書の速水氏によるイラストを見れば目指しているものは、一目瞭然です。
キット自体も視てみましょう。
上記イラストに近い角度のこれがわかりやすい。
劇中通り、上半身の突き出たスーツの再現がなされていることがわかります。
そして、一歩間違えれば塊になってしまうこのボディを補うものこそ、首のライン、そして上に跳ね上げられた尻尾です。
●なぜ、あの写真がベストショットなのか。
ここまで書くとお解りいただけたと思います。
何故、あの児童ムックの写真が格好良いか、が。
わかりやすいように彩色を施しました。
ボディは完ぺきに劇中ギドラを再現していることがわかります。
そして
首のS字は美しいカーブを描き、尻尾に流れる!
そして、それを補填する、右首の折れ下がり!
これらの要素を完ぺきに写し出している!
これこそが、最も美しい速水ギドラのカットなんです。
美しい中央首のS字。
しかし、このS字より重要なのは「取り付け角度」だ。
この右首の角度も非常に上手い。これが、この位置にこの角度で着かないと、真ん中の首が「美しく流れない」のだ!
各誌の広告写真ではわかりにくかったが、ここまでのことを、速水氏は1984年に実践していたのである。
三回にわたってしまった速水ギドラ。
格好良いから…ほとんど初のギドラキットだから…etc.理由は様々でしょうが、皆さんお持ちになっていると思います。
挫折された方は今一度、挑戦してみませんか?※
当時組まれた諸先輩方、是非モニターの横において、ブルーレイを流しながら一杯呑んでください。
きっと30余年前の昭和ジュラ紀にタイムスリップできると思います。
次回はいよいよ、「浅井造型 宇宙超怪獣襲来」
革命的怪獣ガレージキット也
※書き終わってから気付いた。俺じゃん。