原リアルホビー初代ゴジラが変えたもの(スーパーモデリング②)
わ!
猫族です。
●原氏の初ゴジはシーンを変えた
いや~それにしても、やっぱこの本、面白いわ。
そして、この時期、リアルホビー初代の写真掲載の多いこと多いこと…。
まさに「彗星のごとく現れた」※1てのが大袈裟でもなんでもないことがわかります。
瞬間的には、井上氏の勢いをも凌駕していたかもしれません。
海洋堂のこの時期の広告を眺めていると、このモデル以降は「ついに俺たちの方向性が定まった!」感があるんですよ。
パオパオさんところにある「坊さん(井上氏)がスーツ再現でいくならこっちは生物感や」という方向性ですな。
姉妹紙「3D怪獣全集」では、開田氏によるエフェクトも付加され、堂々表紙を飾っている。
あと、ガレージキットとして、一番カラーピンナップが多いキットなんじゃないかなぁ、コレ。
海洋堂で一番数が出たキットって話も聞いたことあるし。※2
●1984年の構造改革
怪獣ガレージを語るうえで最も重要なのは1984年である。
シーンの発展期という点、各誌のガレージ特集など、総体としてのカロリーが最も高いのはこの年であるとみて、まず間違いない。
しかし
1984年って、実は前半と後半でシーンが全然違うのだ。
巨大キットの井上氏は圧倒的存在として一貫していることは変わらないのだが…以外のメーカー、いや、ほぼ海洋堂の動きと見ていいだろう。
何が違うかって、ノーマルサイズキット(20~30cm)の力場の変化が顕著なんですよ。※3
例えば、件のHJ誌84年1月号。兎に角、速水氏GSV!ゴジラ団!って感じだ。
これが、2月頃にリアルホビー初ゴジが原型発表されたことで、一変する。
海洋堂による広告。写真スペースを割ってまで、このキットへの想いを綴っている。荒木氏1/20ティラノもそうであったが、凄いキットのときには語りまくるのも海洋堂らしい(笑)。
原型発表後の各ガレージキット取り扱いショップの広告の一例。初ゴジの扱いが非常に大きい。某ショップの広告では、イラストにまで起こして「予約受付中」!
しかし「ビッグだからグレイトだから初代ゴジラ‼」って凄えコピーだな(笑)。
つまり
1984年前期 速水氏GSV&海洋堂原型師東宝怪獣群+ゴジラ団(特にキンゴジ)
↓
1984年後期 原氏による各サイズ怪獣
このように、速水氏や海洋堂メンバーで各怪獣を20センチサイズで製作という構造が、…メイン原型師が原氏で固定され、様々なサイズ、ジャンルを造っていくという構造に変化しているのだ。
なにせ原氏、年末にはボークスからアンギラスまで出しちゃってますからね。※4
一方の速水氏はバンダイ、タカラといったマスレベルの原型製作、企画もの(例のビデオとか)に移行してゆく。
これらに加えて、the特撮コレクションのラインナップも進行、ポピー巨大ゴジラの発売、コンバットジョーモスゴジ、件のビデオ、これらがわずか1年の間に起きたことなんですよ。
まさにビッグバン。
そして、1985年には井上氏、原氏の構図が確立される。※5
で、その変遷を考えるのにうってつけの位置、そして時期にあるのは、やはりこの小田氏編集の2冊であり、このカラーピンナップ群だったりする。
「怪獣に特化していない」スーパーモデリングにすら、1頁カラーピンナップ載ってたことで確信しましたよ。
1枚のピンナップで長くなりすぎたので、次回に続く!
あと、語りだすと止まらなくなるので、この初代ゴジラの造型については、また改めて纏めますね(^^; ※6
※1 『海洋堂クロニクル』より
※2 ぐっちゃん(DeliciousRainbow)に聞いたんだったかなぁ。
※3 俺は後年、古書店に通い詰めて詰め込んだタイプなんで、実際に当時のシーンを「体感」しておられた諸先輩方にもこの辺りは聞いてみたいですね。
※4 OHシリーズで突如「原氏」のアンギラスが発売。変名すら使っていない。コレ、いかに異常な事態かお分かりいただけるだろうか。この経緯も色々な説を聞くのだが…。
※5 勿論、マーメイド大石氏の存在は圧倒的に大きい。が、いかんせん東宝モノのキット数は少ない。井上氏自身は原氏を「怪獣スピリッツ」があると認め(『造形怪獣怪物大全集』)、当時は明確に意識していたと言われている。
※6 以前ツィッターやってた時にちょっと書いたりしてたんだけど、きちんと纏め直してみたいと思う。
ツィッターはUMAネタとかが楽しすぎて、原型製作が止まっちゃうので、最近は見ないようにしてます(^^;