「昭和29年の悪夢」速水仁司氏GSV初代ゴジラ
今回は、スーパーモデリング特集から派生して、GSV特集DEATH!
●必修科目「GSV」
スーパーモデリング誌掲載、速水氏GSV初代ゴジラによる和光ジオラマ。
「模型情報」の表紙を飾り、スクリーン増刊「ゴジラVSビオランテ」号の怪獣ジオラマ特集で「昭和29年の悪夢」と名前を冠されたジオラマである。
…とまあ、見覚えのある方も多いジオラマだと思うが、首の短さが如実に表れてしまっている「模型情報」表紙より、こちらのアングルの方が良い。※1
このアングルが、これだけ大きなサイズで映っていること自体が、たまらなく贅沢である!
GKの歴史が語られるとき、GSVは必ず顔を出す。
しかし、個々のキットにスポットが当たることは意外に少ない。
●ので、あらためてGSV初代ゴジラを考えてみる
GSV初代ゴジラは非常に粗削りではあるものの、個人的には20㎝サイズの初ゴジでは現時点までベストと言っても過言ではない出来だと考えている。※2
加えて、3D怪獣全集掲載のこの「個体」で、且つ、左サイドからのこのカットがベストショットだろう。※3
劇的に似ているわけではない。
しかし、20㎝サイズの模型としての纏め方が非常に「好き」なのだ。
その理由の一つが、この左方向から視た時の佇まいにある。
素立ちながら、ぐっとタメが入っている腰と、それを増強する手の差し出し角度が、この独特の佇まいを生み出す。
この点に加え、少し先すぼみに造られた顔の彫刻。
初ゴジ“らしさ”という点では、後のバンダイ特撮コレクション初ゴジを上回る。
いかんせんキット仕様がドイヒーなのも事実…だが、これも黎明期ならではの味である。
型の限界すらまだ明確になっていないであろう時期ゆえに、これはもう仕方がない。
以前のアメブロ時期(↑写真ね)に組もうとしたが、化石の発掘、復元をしている気分になったっスよ、ハイ。
いや、そんなことより厄介なのは、「首のスペーサーどうするよ問題」が発生することなんだよね。
この時期のバイブルの一冊、ホビージャパン84年1月号、怪獣キット作成法でこのキットが用いられているのだが…。ホラ、皆さんご存知のこの写真ですよ。
スゲェの入れてるぅ!!
このキットといえば、この写真の印象が強すぎるでしょう!
おかげで、俺、未だに「この初ゴジ、スペーサーかますべきか」って強迫観念に襲われるんだよ(笑)!
ホラ、スペーサーかまさなくても結構格好良いしさ…。
てか、こっちの個体の首の長さだったら、たしかに視線はこうすべきだよね。腰からの流れが、そのまま上に流れて、これはこれで格好良いノダ!※4
とまぁ、この初ゴジ、作例によって印象が全然違います。
自分にとってこのGSV初代ゴジラというキットはどういう存在(イメージ)かを問われる、数少ないモデルであるともいえるでしょう。※5
そう、我々がガレージの深淵をのぞく時、キットもまたこちらを覗いているのです。
何言ってんだ、俺は…。
次回はスーパーモデリング特集に戻ります!
※1 参考画像 模型情報誌表紙
※2 GSVならモスゴジもかなり良いが、速水氏のモスゴジは特撮コレクションの原型になったモデルの方が好みである。
メチャクチャ格好良いよ、コレ!
※3 アートプラ誌の「初代ゴジラに相応しい色は真紅だ」スチール(笑)の個体もコレ。
※4 ちなみに、ハイスクール!奇面組で有名な新沢基栄氏は「ぼくはしたたか君」にて、コチラの個体を参考にしたのではないかと思われるゴジラの模型を描いている。 …漫画に描かれたガレージキット特集とかやりたいなぁ(結構あるんですよ、これが)。
※5 ウチの個体は、「オーバーグラウンド」のK氏から譲ってもらった、大切な一品。