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小田雅弘×富野由悠季×イノウエアーツ(スーパーモデリング①)

コミックボンボンスペシャル スーパーモデリング 

責任編集 小田雅弘 1984年 5月21日発売

「3Ⅾ怪獣全集」「HJ誌84年1月号」はおそらく「最も多くの怪獣ファンの人生を狂わせた2冊」である※1が、この時期のシーン、他にも見逃せない書籍、冊子が山のようにある。この本もその一つ。

広告も含めた全ページ、当時のシーンを振り返るうえで非常に重要な資料である。少し内容を紹介していきたいと思う。

●ダンバイン造型の鬼子か?井上ダンバイン

この、力感みなぎる手脚。巨大感。全体から漂う「異形」さ。

ある意味、ガッターよりも、井上氏“らしさ”に溢れているといえるだろう。

同時期のプラモデルとは全く異質なものが、そこに在る。なまじ同じページに収められている事によって、その異質さは、より一層際立っている。※2

小田氏編集本ゆえに、当然のことながらガッターも掲載。

中でも富野由悠季氏本人による、井上ダンバイン評は非常に興味深い。

富野氏が井上ダンバインを抱えている写真は、複数枚存在する。また「海洋堂クロニクル」への掲載により、あまりに有名になったが、富野氏自身がこのダンバインについて語っているのは非常に珍しい。

一部を要約&引用する。

若き富野氏。目がイっていて、怖い。

●造形表現におけるオーラバトラーとは

…という見出しにおいて、富野氏が「ラインナップを終えたプラキットへの総評」を述べている。ラインナップ終了後に、プラキットへの不満点を多々口にしているところが、実に富野氏らしい。※3

プラモデル化されたオーラバトラーの表面処理、デザイン上のラインの処理について、そもそものデザインに問題があったことを述べつつも、発言は以下のように続く。(以下「」内は引用)

「立体におこしていくときのクリエートの仕方が、以前作っていただいた大きなダンバイン(注/イノウエアーツ製作の四十センチダンバイン)のような、本来デフォルメ―ションされていいものなんだといっても再現されない。そこにはクリエーターとしての『勘』みたいなものが出てこなければいけないということを、今回のダンバインシリーズを見て感じます。メカもの、プラモデルという既成概念にとらわれすぎているんじゃないでしょうか。とにかく立体造型としてのオーラバトラーは、あの一番最初に作っていただいた大きなダンバインに尽きるんですよね。」

インタビューの発言すらも独特の言い回しなのが面白い。※4

ダンバインについては怪獣ほど深く知らないため、あまり過度なコメントは控えるが、この「富野発言」からは、井上氏の造型スタンス、センスへの賛辞が伺える。アニメモデルとして素晴らしい完成度の、1/24ダンバインの発売後にも拘わらず、だ。

また、後年の大幅なアレンジモデルとは違い、基本的には劇中のラインを踏襲した井上ダンバインに、造型物としてのデフォルメ―ションが施されていることを汲み取っている。

故に、この発言でいうクリエーターとしての「勘」とは、アレンジモデルのようなものではなく、対象を立体化する際のセンスと捉えるのが妥当ではないだろうか。

そして、ダンバインを怪獣に置き換えると、それはそのまま我々怪獣ガレージファンの井上氏への見方に重なる。

富野氏が井上ダンバインを抱えているこの写真は、勿論、プロモーションの一環であることは間違いないだろう。

しかし、富野氏があの井上ダンバインを、ある種、特別な立体物として捉えていたこともまた、わかっていただけたかと思う。

この号の最大のポイントは、この富野発言である。

しかし、怪獣記事でも、非常に興味深い特集が組まれている。

という訳で、次回に続くよん。

あ、そうそう。

富野由悠季…「機動戦士ガンダム」とか「聖戦士ダンバイン」の生みの親。日本のアニメーションにおける最重要人物の1人。

はい、エヴァンゲリオンってガンダムみたいなもんですよ。たぶん

※1 これ、近いうちに纏めますね。皆、コレにヤラレてるし。

※2 参考画像。各プラモデルも同ページに掲載されている。

※3 名作1/24ダンバイン「発売後」のインタビュー記事である​。

この1/24ダンバインは、アニメ作中のダンバインの「忠実な立体としては」素晴らしいものだと思う。

※4 引用する為、自分で打ち込んでいると、改めて独特…を実感させられた。

怪獣ガレージキット

ヒストリー

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