あなたの知らない84ゴジラ造型の世界 第4夜②
夏も終わり!
猫族です。
さて、本題にうつりましょう。
モロさんの84レビュー!
●最も「誠実な」2号スーツの立体化であるということ
全身のラインが解りやすいカット。
新宿での「スーパーX戦における2号」の一連のスチールが思い起こされる。
頭、首、と明確に分かれている2号スーツの特徴を忠実に再現しており、これは85年のこの時期においては脅威…というか、実質、現在までにおいてもなかなか稀有である。※1
ほぼ同時期の原氏の傑作20㎝ベース付きモデルは、文字通りの「スーツバージョン」。※2
一方、このモロさん84は明確に「2号」と解るのが面白い。※3
●安丸モールドの再限度の凄さ
今回、最も驚いたのはこのカットである。
84ゴジラとしか言いようがないこのモールドをご覧いただきたい。
完ぺきである。
4年後、“本物みたいな”ビオゴジで諸岡氏は一気に有名になるが、安丸モールドの再現はこの85年の時期にすでに完成していることがわかる。※3
「対象への敬意」がこのモールドのひとつひとつから溢れ出ていることが、おわかりいただけるだろうか。
90年代を代表する怪獣作家であった諸岡範澄氏であるが、この「誠実さ」こそが、怪獣ガレージを造るもののスタンスであると、改めて確信した。
●「夏の特集」を振り返って、おもうこと
ガレージ黎明期の中、「新作」として出現したゴジラへの各作家ごとのアプローチを「未発売モデルという切り口」で追ってみた。
そこに一貫して流れているのは、ガレージ業界への、怪獣造型への「情熱」である。
もうひとつ。
現在のように、ただ「流れてゆく」ものではなかった「情報」について、だ。
今回のMG誌探索を通し、思い出したことがある。
古書店の暗がりの中、一つの情報、一枚の写真を手に入れることに何日も、何か月もかけ、暗記するように頭に叩き込んだ中学生時代である。
そして、その熱意こそが、一つの対象に対するこだわりを生み、一枚の写真に対する憧憬を生み、ひいては1つのキットに対する、愛情を産んだのだと思う。
そして、それはきっと、この長文を読んでくださっている皆さまも同じ筈です。
最後になりましたが、この特集の契機となる言葉を頂いたHJ誌元編集長、伊藤克仁様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
NEXT! 「あなたの知ってる84ゴジラ造型!」としてプラス1をお送りします!!お楽しみに!
※1余談になるが、1号スーツは「首」「頭」のラインが、…というレベルではなく、全身のバランス、背びれの構成も含めて、まるっきりの異様。完全に別物である。同映画内でこれほど違いがあるスーツが用いられていたのだ。それを完全再現したMM28丹羽氏も凄いが…。
※2どちらが優れているという次元で語っているわけではないことは、強調しておく。
そのまとめ方、雰囲気の捉え方の妙において、この原氏20㎝スーツバージョンは84ゴジラのイメージをほぼ固定してしまったとすら考えている。
参考画像
※3「本物みたいなビオゴジがパンフレットに載っていた為、ビオゴジには飢餓感がなくなる」という罪なキットだったように思う。また、いまだビオゴジ忠実再現としての、ベストキットであると考える。
モールド参考用画像