【緊急号外】浅井造型 マグラー 1000字レビュー
●この能動的な表現。ウルトラガレージの世界では新鮮だ。
「出来たぞ~」とこの写真が送られてきたとき、天才。と思った。※1
スチール写真以上に劇中のマグラーに忠実。身体をよじったような独特の「この怪獣らしさ」の完璧な具現化。あらためて、立体を映像的に構築出来る人なんだなぁ、と思う。 これはもうセンスとしか言いようがない。
●マグラーをスチール通りのポーズに作るのは、マグラーの30cmの立体としては「正しくない」ということ。
このように、矢印方向にテンションが向かってることがお解りになると思う。矢印方向に向かって、ククッと、ほんの微々たる調整を施してる。 このまんまのスチールは見たことないんだけど、多分あらゆるスチール以上に劇中のマグラーの動きが視えるのはこういう訳。 こういうディテールの怪獣だから、ただ曲げるだけではなく、この方向に勢いを持っていった方が「らしい」ことを直感で解ってるからこういう事が出来る。
これ、原型やってる人間なら滅茶苦茶怖いことなんですよ。その辺はパッと済ましちゃうんだよなぁ、ウチの大将。あームカつく(笑)※2
●立体物としてのポイント「浅井空間」
今回のこれ、勿論色々スゲェんですけど、ここまで書いてきたことってのは多分多くの人も同感だと思うんですよ。 でもね、個人的にやはり一番「スッゲェ…!」と思ったのが顔の角度と、右手の処理。 僕は浅井空間って、勝手に呼んでるんですが。 僅かに右に傅くようにして、棘顔を強調&目つきを隠すという、頭部バランス。そして、何より凄まじいのは右手の処理ね。右手をほぼ地面に水平にあげてることで、頭部からボディにかかる緊張感を途切れさせていない。凡百の作家なら、このポーズなら、右手は地面に落とすか、「曲げる」。 ところが、身体のウネリへのアクセント&身体の下に空間が存在することを演出するために「真っ直ぐに伸ばして」且つ、それが完璧に、動きに直結してるわけですよ!これは本当に凄ぇよ! だってこれは、自己都合のアレンジじゃないんですよ!そういう風に演出して「見せる」ことが、出来てるってことなんだ!と僕は声を大にして言いたい。
●誠実に造ってる。忠実度としても1番だ。
今回、僕はたまたまよく遊びに行ってたという至極単純な理由で作業工程もずっと見てた。ディテールや、情報の再現についてはとても誠実に造っていたのは目にしている。
モールドやスーツの再現という意味においては、トレースというレベルで細部まで詰めている。(これまでの立体ではちゃんと再現されてない箇所が案外多いことにも気付かされたし、新たな発見なんて山ほどしてる。本人がわざわざ大声で言うタイプじゃないのが、勿体ない※3)
実物再現という意味でも完璧なモノになっていることは、ここに明言しておきたい。
兎に角、最後にこれだけ言わせて欲しい。「俺にも回してよ!大将!」※4
※1 これはサフを吹く直前画像。完成したぞ、と送られてきたもの。ビックらこきました。
※2 横で見てたのに気づかなかった(笑)
※3 代わりに僕が文字に起こしていこうかと考えたのだが…「おい、竹添、知ってるか。マグラーのここってこうなっててな」「へぇそうだったんですか。あぁ、だからこうなるんか。よく見てますねぇ」「あー腹減ったなぁ。お前何食いたい?」「うーん、中華っすねー」みたいな感じでダラダラ時間が過ぎていくもんで、全然思い出せないんだ…。 ※4 シンゴジの胸像も、当然回ってこなかった。ふざけんな。