冬の大特集 森山直哉の世界 ⑥
ワンフェス明々後日!
猫族です。
●ビオゴジ
HJ誌90年3月号作例
原型 諸岡範澄 マックスファクトリー ソフトビニールキット
氏は30㎝サイズ怪獣ソフトビニールキットの可動改造においても、非常に印象が強い。
私自身が最も印象的なのはこの90年3月号の「ビオゴジ」である。
マックスファクトリー製のこの名作キットは、私見ではビオゴジを最もスーツに忠実に再現したものである。
しかしながら、「素立ちポーズである」ことが唯一、最大のウィークポイントと言わざるを得ない。
↑参考画像 それでも充分に格好良いビオゴジであることも確かである。30㎝のソフビモデルとして、これはこれで好い纏め方だ。件の怪獣特集号、ゴジラキットカタログから抜粋。
森山氏指定アングルでの撮影も、非常に心地良いカットである。
そして、発売後半年にも満たないHJ誌90年3月号。
そのウィークポイントに対し、「原型師」自身(!)と「森山氏」双方によるアンサーが掲載されたのは、非常に興味深い。
最初に掲載した写真が、森山氏による「解」…「改」というべきか、フル可動化。
一方こちらは原型師の諸岡範澄氏自身による「改」、である。
↑原型師自身による「前傾」化。 こちらも素晴らしい作品なのだが。
双方、全く違うアプローチながら、非常に格好よくまとまっている。…が、諸岡氏の改造は、やや硬さが残る。腰起点~胸へのラインなどから「元ポーズ」が窺えてしまうのだ。
↑コミカルなポーズなのに、すべて美しい。森山氏の写真のセンスが堪能できるページである。怪獣王シリーズ「シン・ゴジラ」の改造モデルでも(ボディは無改造なのに)動きのポーズが最も映えたことが、記憶に新しい。
改めて、この写真を見て頂きたい。
簡着方式を採用した森山氏の改造モデルの方が不思議と「動」のポーズの瞬間、瞬間に、重心の安定が「視える」のだ。
重心の置き方の的確さにより、全体の流れに無理がない。
あえてお座りポーズをとらせているが、コレができるのも全体の纏まりが完璧に決まっているが故であろう。この「遊び」の雰囲気は、海洋堂ソフビボックスシリーズを30年先取りしている。
↑モノクロページには前傾姿勢が掲載。
モノクロページのこの写真が好きだ。
この角度なら、尻尾の流れは「こうならなければならない」し、そこは、可動機構を生かして、大胆に写す。
この大胆な構図により、むしろ「商品のような纏まりの良さ」が構築されているのが面白い。
↑恒例の「君にもできる」シリーズ。簡単に言ってくれるぜ…。
この断面図からもわかるように、このビオゴジのコンセプトは「遊べるリアルな怪獣ソフビトイ」である。
諸岡氏による素晴らしい原型に、このコンセプトが非常によく「合う」。
↑「遊べるリアルな怪獣ソフビ」であった、ビリケンキンゴジ。おそらく最も流通した怪獣ガレージのひとつであろう。30余年を経ても、全く見劣りしないのが凄い。
ビリケンのキンゴジは「リアルさ」と「遊び」の双方の理想的融合であり、ガレージキットでありながら「POPEYE」に載っているのではないか、と思わせるようなポップアイコン的側面を持つ。
森山氏のビオゴジからは、そのビリケンキンゴジ的「商品バランス」すら漂う。そして、それが「一品モノ」である「改造」作品であることに驚きを禁じ得ない。
↑恒例の「君にもできる」シリーズ2。記事からは、素材の硬さや質感まで伝わってくるようだ。バネのテンションなど、「やってみたい」と強く思わせる。できません。
なお、現在はこのビオゴジ、尻尾村尾ゴジラ氏製作の軟質素材のものに置き換わっている。
次回は…ワンフェス後になるけど、その前にお知らせがあるぞ!