冬の大特集 森山直哉の世界 ①
●キンゴジ
HJ87年6月号「時代はミニマム」特集
原型 原 詠人 海洋堂 レジンキット
前年より森山氏はボトムズの作例、マラサイなどをHJ誌にて手掛けていたが、この号のキット作例が初の怪獣作例となる。
もうすでに両脚角度を改造してある(笑)が、誌面巻頭カラー特集を飾り、パオパオ氏の怪獣ガレージキットデータベースにも用いられているため、このキンゴジは、この改造モデルの印象が定着している。
後年のモデルでもしばしばみられる現象が、この時点で発生しているのが非常に興味深い。※1
サイズに合わせた塗装、プラ棒削り出しによる牙の丁寧な植え込みなど、氏の製作技術、センスはこのサイズでも顕在である。
また、後年の30センチサイズソフビ改造モデルに顕著な「バランスの最適化」という面もすでに表れていると見ることもできるのではないか。
●初代ゴジラ
HJ87年6月号「時代はミニマム」特集
バンダイ ガシャポンモデル
こちらも同特集。
色使いの妙を堪能できる。
サイズやディフォルメモデルの特性に合わせ、絶妙な明度の調節がおこなわれていることに注目。
80年代におけるベーシックな初代ゴジラのイメージカラーでもあり、個人的に大好きな作例であるため、掲載した。森山氏のレビュー文にもあるが、この初代ゴジラモデルやホラーワールドなど、当時のバンダイベンダー事業部は非常にセンスの良いディフォルメモデルを展開していた。
●モスゴジ(モスラ対ゴジラ)
HJ90年10月号
アオシマ 原型 三枝徹 1/700メタルモデルシリーズ
少し時代は進むが、ミニサイズモデルのほぼストレート組みということで、今回掲載する。
このメタルモデルシリーズは90年代初頭にアオシマが展開していたシリーズである。
アオシマが発売していたこともあり、いわゆる「近所の模型店」で久々に買うことができたリアルな怪獣模型であった。
ただ、アイテムによっては、造型の癖が非常に強く、またメタルモデルという事もあり、近年まで店頭在庫として見かけることの多かったシリーズでもある。
しかしながら、このモスゴジは劇中イメージに寄せて作られており、躍動感が印象的な好モデルである。
氏のモスゴジ塗装が実に素晴らしいため、キットの印象が格段に良くなっていることがお分かりいただけるだろう。
若干緑系に寄せ、徹底して艶消しに徹したこの塗装は、メタルモデルの硬さを、まるで感じさせない。
当時は小学生であったが、氏の塗装を見て、「このモスゴジ、こんなに良いのなら買ってこよう」と思わせるに十分な素晴らしい作例であった。※2
モスラと対峙させる際の間合い、デコパージュのバランスも心地よい。
この空間把握のセンスがあってこそ、大改造作例も可能となるのだろう。
今回はジャブとして、ミニサイズで、かつ氏の塗装技術を堪能できる作例を集めてみた。特にアオシマモスゴジは非常に印象が強く、個人的に大好きな作例である。
いよいよ次回からは、改造モデルに突入。
記憶に残る、あの作品、あの紙面!が、ゾクゾク!
※1原氏30センチソフビ初代ゴジラなど。
※2この号が出た後に、隣町の模型店にて購入したが、メタルモデルは小学生には荷が重かったです……。