森山直哉の「新」新ゴジ③
氏による「新」新ゴジはこのような経緯で製作されたのだ。
氏の作例史に、少しでも私のようなものが関与できたことは、感無量である。
では、会場でしか見れなかった全身像、どうか堪能していただきたい。
メインカットであるこの写真は、森山氏によるもの。
その他、注釈なき場合は私が撮影したものとなる。
新ゴジの特徴を見事にとらえた面構成に注目。※
この作例を見た最初の印象は、「まんまの新ゴジじゃん!」というものであった。
特に想起されるのが新宿での対X戦で撮られた一連のスチール写真であろう。
明確に「新宿戦中盤の2号」として造られたものであることがわかる。
※(眼下の頬にあるラインのヘコミまで再現している!)
上あごから眉間にかけての厚み、意外とスラリと立つアウトラインなど、新ゴジの特徴を完ぺきにトレースしていることがお解りいただけると思う。
新ゴジ2号スーツの再現モデルとして、これ以上の立体物を知らない。
頭頂部から尻尾の流れまで、全身のアウトラインに隙がない。
これこそが、森山ラインの真骨頂であろう。
森山氏が、立体を視覚的に完ぺきなバランスで構成できるセンスを持つことが解る。
加えて、上記スチール等の解析を完ぺきに入れ込みながらも、絶妙に模型映えするバランスに微調整している事にも注目。※
※明確に解りやすい点で述べるならば、脚部ボリュームなどは「30㎝の立体として映えるように」調整が成されている。
背部より。森山氏撮影。
「ゴジラ」完全収録ドラマ編サウンドトラックのLPジャケットが目に浮かぶようだ。
↑参考画像はカセット版であるが、このLP版は新ゴジ2号背部からの雰囲気を美しく写し出した名ジャケット。
森山直哉氏の「新」新ゴジは、一切の主観を廃し、立体資料と言えるレベルにまで突き詰められた作品だと断言する。
加えて、あの旧モデルでさえ、原氏による元キットの片鱗が残っていたことに気付かされるのは非常に興味深い点であろう。今となっては、驚くべきことに、微々たる程度ではあるが、元キットの片鱗がアウトラインに垣間見える。
↑旧モデル。アウトラインに元キットの片鱗を残す。それでもこのバランスもまた、素晴らしい。この作例のレビューはコチラ
同時に、この新モデルは、いまやカリカチュアモデルとでも呼ぶべき存在となった、旧モデルとかけ離れた存在、表現であることを示している。
究極の新ゴジカリカチュアモデル=旧モデル
究極の新ゴジ再現モデル=新モデル
と呼んで差し支えないだろう。※
旧モデルとの比較によって浮き出てくるのは森山氏の30年の進化であり、30年の歳月を経てついにベールを脱いだ新ゴジ2号スーツのカタチ、である。
30年越しのラブコールに、このような素晴らしい形で応えてくださった森山氏に、深く御礼を申し上げます。
「30年の間、新ゴジを、森山氏の作例を愛してきた私にとって、これ以上の恩恵はありません。本当に、ありがとうございました。」
終
※勿論、旧モデルは私の「初恋の新ゴジモデル」とでもいうべき存在であり、新モデルの登場によって優劣が生じるものでは「当然ない」。そのような次元で私は森山氏の作例を、新ゴジという愛すべき存在をとらえていない。
この旧モデルはいずれ自身の手により「再生」したいと考えている。