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トビー・ダンカンのデスザウラー 10年②

リュカイナ氏のデスザウラーについて書く前に、今一度、堀井氏の改造デスザウラーを、僕らの少年時代の「憧れの機体」を振り返ってみたい。

ゴジュラス基地を全滅させるトビー・ダンカン少尉のデスザウラー。首角度が美しい。

以前にも書いたことではあるが、堀井氏のデスザウラー自体、実は「商品状態」からかなりの手が入った状態の、「玩具の新製品のお披露目」としては異例の作例である。

商品のイメージを最大限とどめながら、卓越したセンスでブラッシュアップを行っている。

デスザウラーの欠点を完全に克服したバランスに変更しているのは、今見ても驚きを禁じ得ない。

私見ではあるが、商品状態のデスザウラーは、そもそも恐竜型として、デザイン的に完ぺきにバランスの取れたゾイド「ではない」と考えている。

参考画像:商品状態のデスザウラー

上半身、特に、最大の特徴でもある「首から頭部へのラインこそが弱い」のではないだろうか。

この数年前に発売された「ゾイド・ゴジュラス」の方が、恐竜型として全体の纏まり、バランスに優れているようにも感じる。

堀井氏の作例の特徴を以下に記す。

・巨大すぎる頭部バランスを、むしろ頭部ビームキャノンの延長によって(!)克服。※

・頭部の独立稼働化。

・(アイアンコングMK.Ⅱのものではない)高機動ユニットをこれまた「上半身」に装着。

・各種チューブの増設

弱点である部分に足し算を行うことで克服しているそのバランス感覚には、驚嘆する。

首が独立し、全体のバランスが素晴らしく改良された堀井氏作例「デスザウラー 高機動型 トビー・ダンカン少尉機」

この堀井氏によるデスザウラーのキモは、実は高機動ユニットではなく、(独立可動化によって)少しの角度変更がおこなわれた頭部だろう。

この改造により、このデスザウラーは明確な「頭部」が形成されているのだ。ゆえに、視線が、ひいては全身がキマる

頭部があるべき箇所に落ち着くことによって、全身のバランスまでもが安定していることがお分かりいただけると思う(最もこれは電動を目的としていないがゆえにできる、いわばプロ仕様であことが前提ではあるが)。

この改造デスザウラーの個体は、「バトスト2巻」以降も、高機動ユニットやチューブ、アンテナ類を外した状態で再利用されることがあったが、その特徴的な頭部の角度ゆえ、明確に「あの個体だ」と識別できた。

こうやって当時のバトルストーリーを見返すたびに、この機体に恋焦がれた小学生のあの日々を思い出す。

僕らの頭の中には、常に、トビーやエリクソンの運命が、魂の叫びが、そしてこの機体のシルエットがあった。

そして、初代ゾイドの特徴。

電動ギミック以上に、その高いデザイン性で勝負した玩具であることを、痛感する。

解析する眼や、技術的にはともかく、人間の直感的な感性は少年時代の方が、実は優れているのではないか。

理屈や理論ではなく、直感でものを感じ取ることができたあの数年間。

その数年間に、この素晴らしい機体に出会えたことに感謝したい。

※この頭部構造のバランスのとり方は、下記CAデスザウラーにも通じるもがあるのではないだろうか?

●堀井氏のデスザウラーCA(2018)

先日、東京で行われた第8回ZAODにおいて、堀井氏の手によるデスザウラー作例(CA版デスザウラー)の新作がお披露目された。

写真はリュカイナ氏提供。

トビー・ダンカン少尉機が機銃を前に延長、付加したアンテナすら前方向に向けていたように、堀井氏のデスザウラーは「前方向にテンションが伸びてゆく」ことを再確認させていただいた。 また、眼部分の表現にも注目。

小学生時、トビー・ダンカン機のジオラマ写真でも初見時、目の角度が異様に印象的であった。(けしてツリ目になるように撮られていない=判りやすい怖さを狙っていない) この眼もまた、素晴らしいラインを醸し出している。

堀井氏のデスザウラーは、美しく、怖いのである。


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ヒストリー

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